高校情報科を兼業教員が学ぶ

高校生が学ぶ「情報」の授業・教材・その他もろもろについて書きます

2学期

とうとう9月。2学期の始業に合わせてブログを再開します。


8月は、秋田の全国高等学校情報教育大会、Life is Techの先生向けプログラムで映像制作、図書館の情報教室化、江戸川大学で雑誌編集のワークショップなど、(遊んで)見聞を広めてきました。

 

さて2学期が始まります。当面、ブログはラフに書いていこうと思います。よろしくお願いします。

大阪の地震のデマ拡散について

大きな災害があるたびに、様々なデマが流れます。

・韓国・朝鮮ルーツの人が井戸に毒を流したらしい

・長田区で放火魔が出たらしい

・巨大化したオオカミウオが釣れたらしい

・熊本でライオンが脱走したらしい

 

全部嘘です。今回はシマウマが逃げたとか、それって面白いのかすら、よくわかりません。気になる情報があったら、騒ぐ前に情報源を確認し、その情報が広まることでダレトクなのかを考えた方がいいと思います。

SNSのデマ拡散は、事実でないことが伝わって混乱を招くことはもちろんですが、意図しない形で、誰かを傷つけることに加担してしまうことがあります。

・善意のもとで良かれと思ってつぶやいたり拡散したことが、混乱を招き本来必要な情報が埋もれてしまう

・悪者をみつけ正義感のあまり、悪い奴には何をしてもいいという集団心理で、袋叩きにして炎上させてしまう

 

情報発信する責任を考えて、注意深く行動すること。中高生だけでなく、大人こそ気をつけたいと思います。

 

画像編集・アニメGIF作成の授業をやってみて思ったこと

GIMPを使って画像編集・アニメGIFを作る実習をやって思ったこと。

何かをつくる実習だと、アクティブになるので生徒は飽きない。作品づくりという名目にすれば、一人ひとりの作りたいものに必要なディジタル加工の技術を使う必要性が生まれるし、作りたいものがあってこそ、どう使うか工夫がある。ねらいを、マニュアルどおりにつくるのではなく、クリエイティブな力を養うことに持っていけば、生徒は勝手に動いてくれる。

ただ、情報機器(教室で使うのはパソコン)とかメディアに対するリテラシーは、今の高校生はかならずしも高くはない。「コピーってなんですか?ドラッグ&ドロップってなんですか?」という世界(生徒が悪いわけじゃない。家にパソコンがない家庭だってあるし、スマホじゃドラッグ&ドロップなんて必要ない)。

自分で動けるか、サクサク作業を進めて、オシャレなアニメを作る生徒がいる同じ教室に、そもそも何をすればいいんですか?という手取り足取りの指示待ちが当たり前と思っている生徒もいる。さらにいえば、学校で物事に取り組めない、人と協業するのが耐えられない、そういう生徒がいる場合もある(個人的には、そういうことだってあるだろう、と思う)。

「ITリテラシー」と「自分で動けること」の二点は、何かをつくる上では、つくるものの水準を問わず絶対に必要だと思う。けれどもその両方のレベルが、同じ教室の中で、生徒によって極端に異なることがある。だから情報の授業はおもしろい。(落合陽一さん風にいうと)人間が学習するときのインタラクションの解像度を全体的にキャッチするのは、今のところは人間にしかできないと思う。機械が追いつくまでには、もう少し時間がかかるだろう。

いわゆる面白い、授業の先進性だけに注目していると、場合によっては一部の生徒を置いてけぼりにしてしまうことになってしまう。教育の先進性を売り出すとき、置いてけぼりになる生徒がいることを、割り切ってしまっていることもあると思う。いわゆるリーダーシップ論であればついてこれない人は淘汰されてしかるべき、みたいな考え方もあるが、教育ではそういうわけにはいかない。先生次第でそのさじ加減が決まる。

江戸時代の寺子屋みたいに「あらゆる学齢の子が、別の内容を学習していて、教室の中でも別々の方向を向いて学習しており、必要に応じて先生が1on1で教える」というスタイルが本来は望ましいかもしれないが、40人の教室で、50分のクラスでそれを実現するのは、相当の指導の技量がいる。アクティブ・ラーニングをまともに回している先生のファシリテーション技術と準備の密度は、もっと評価されるべきだと思う。いわゆる「学びあい」の授業では、生徒の一人も見捨てずに、生徒が自分で動いて授業の中で目標を達成させるという。そういうのをぼくはもっと研究するべきかもしれない。マジメか!